我々は何者か、何者であるべきか?
組織の中で、ほとんど問われない重要な問い
こんにちは
toiee 亀田です。
「自分たちは世界を変えられる」と信じる小さなチームを率いる、マネジャーとして、私の経験をシェアしたいと思います。
おそらく、あなたも、大きい声では言えないものの、私たちtoiee Labと同じように「自分たちは世界を変えられる」と、考えているのではないでしょうか?
「ハイハイ、大げさ、大げさ」
という声には耳を傾けず、前に進んでいくために、私にとってとても役立った「問い」を紹介したいと思います。
2500年前から続く、人の悩み
2,500年前、デルポイ(ギリシア)のアポロン神殿に、多くの人が、神託を聞くために、列をなしていました。
いつの時代も、多くの人が「自分の将来」「自分の道」に悩み神からの言葉によって救われたいと願っていました。
そんな大勢の人たちに、神殿に入る前に「答えを教えよう」とある賢者が「文字を刻み」ました。
その文字とは
汝自身を知れ
です。つまり、「あなたは何者か?」それさえわかれば、神託など必要ないと賢者は教えました。
そして、何世紀も経った後に、「汝自身を知れ」を解くための方法 が開発されました。それは、ちょっとした革命だと思います。
「私」とは何か?
どうやって「私を定義するのか?」
ところで、「あなたは誰ですか?あなた自身を説明してください」と言われて、説明しようとすると、
- toiee というチームを作った人です
- 母はミツエ、父はトシハル、息子は・・・
- 大学で人工知能を研究し、博士号を取りました
- Java、VB、C、C++、PHP、Tcl/Tk などのプログラミング言語が使えます
- 茨木市で生まれました
- スキー馬鹿です
- ・・・続く
自分を定義する縁起(リンク)
という具合に、「自分以外の何か」でしか説明できません。自分という存在は「周りによって定義」されます。
ということは
「汝自身を知れ」に答えるには、自分を取り囲むものに頼る以外にありません
「願望」も自分を定義するもの
では「あなたを説明する」方法として、やりたいことを使ってみましょう。
私の場合
- ウィンドサーフィンを極めてみたい
- スキーをもっと極めてみたい
- スミソニアン博物館に家族で行きたい
- 教育を大きく変えることをやりたい
- ・・・などなど
自分の願望も縁起の一つ
このように考えると、「汝自身を知る」には
- 自分を取り囲む環境(人、機会、社会、時代・・・)
- 自分の願望
の両方を使う必要があります。そして、この「二つをマッチさせた時、初めて『汝自身を知ったこと』」になります。
なぜ、流行りのコーチングが機能しないのか?
すべての「縁起」を使って「汝自身を知る = 自分を定義する」
ところで、コーチング理論の多くでは、
- 「自分の本当の願望を見つけなさい」
- 「本当の情熱を注げるものを続けなさい」
- 「そうすれば、道は開ける」
と言いますが、これだけでは、私たち自身を知ることはできません。なぜなら、好きなことだけでなく、現在の自分を取り囲む、環境、チャンス、つながりがあり、その中から、一歩を踏み出す必要があります。
もちろん、思い切ってスーツケース一つで渡米して、何かを始めるという方法もあるかもしれませんが、誰もができることではありません。
結果、「やりたいこと探し」をすると、2500年前に、神託を聞くために列をなした人々と同じように、思い悩み続けることになります。
ここで必要なことは「やりたいことと、自分を取り囲むもの全部をチェックして、機会とやりたいことをマッチさせる」思考です。
そこで役立つ第一の質問が、、、
「何によって覚えられたいか?」
です。
この質問は、自動的に
- 自分の周りの人との関係が含まれ
- 自分の願望が含まれ
- 自分が価値ありというものが含まれる
絶妙な質問です。この質問に、時折深く答えてみることで、私たち自身を知ることができ、そして、チャンスを見出すことができます。
この問いを使って、物事を達成する方法
孔子のいう「道」を歩む方法
さて、「何によって覚えられたいか?」の答えが出たら、後は「三省」をすることです。それだけで、不思議とチャンスが増え、仕事の方向性が定まり、いろんな出会いが生まれます。
三省とは、論語の学而編で
「吾日に吾が身を三省す。人の為に謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝えしかと」 — (毎日3度、反省することの意)
というものがあります。
毎日、3度は「何によって覚えられたいか?」の答えと、自分の思考、行動、発言を照らし合わせ、
- できていた点(Good、Keep)
- 改善点(Improve, Problem)
- 次やるなら (Next, Try)
をその度に考え、自分を律することです。
私は「亀田」という名前だけあって、ゆっくり亀の歩みで進むタイプです。「ひとっ飛び」になにかを達成できるというのは、ファンタジーだと思っています。
本当になにかを達成する人は、現状を憂えるのではなく、「なにによって覚えられたいか?」に対して、今の現状でできる一歩を踏み出す。すると、新しい何かが見える。それを使って、次の一歩を踏む。
そんな毎日の積み重ねを楽しみ、そんな毎日を慈しんでいる人が、人知れず「大きなことを成し、社会を良くしている」のだと思います。
目立たず、すごいことをしている人がたくさんいるから、この世界は豊かだと思います。
先日、世界一の明石海峡大橋を渡りながら、その偉業を支えた名もなき人たちに感激をしました。
あなたは「何によって」覚えられたいですか?
この質問をたまたま大学院生の頃に知りました。そして、時折自分に問うようにしてきました。大学院生の頃の最初の回答は、
「後輩から飲みに誘われたりする気さくな先輩ではなくとも、卒業後、2, 3年後に『あの時、亀田さんに学んだことが今役立っているなぁ』と思い出されたい」
でした。
この答えを出した後は、相手のために「厳しい質問」をしたり、研究の姿勢を問うたり、また自分自身が模範になることを意識しました。
その結果、10年越しに後輩が会社に遊びに来てくれたりします。本当に、嬉しいことです。
同様に、その後も問い続け、今はこう思っています。
「教育に変革をもたらしたチームを育てた人」
「私に、出会う人が『よし何かやってみよう!』と思わせる人」
として覚えられたいと思っています。
あなたのチームは「何によって覚えられたい」ですか?
チームが大きく変わる可能性があります
ところで、この問いは「あなたのチーム」に問うていますか?
チームとして「何によって覚えられたいか?」を決定して、毎日、確認して、自分の思考、行動、発言を律していますか?
私たちのチームも、まだ始めたばかりなので、偉そうなことは言えませんが、すでに「変化が始まって」います。仕事に対する意欲や、発想が変わってきました。
私たちのチームは、まだまだ固まりきっていませんが、こんな風に覚えられたいと思っています。
「ラーニングを武器に、学ぶこと自体を楽しいものに変えたり
自分の可能性を信じられるようになって一歩を踏み出させたり、
自分の人生にYesと言えるようにしてくれたり、
受容される場を創り出したり、
豊かな社会作りに貢献しているチーム」
として覚えられたいと思っています。
このようなチームとして、今日の思考、行動、発言はどうだったか?を振り返ることを始めています。
あなたのチームは「何によって覚えられたいですか?」
チームがギスギスしている時こそ、この問いを発して自分たちを見直すチャンスだと思います。
また、チームが難題にぶつかったら、その時こそ、この問いによって、選択をする必要があります。
あなたのチームは、「なにによって覚えられたいですか?」
さらに問うべきこと
経済面のために問うべきこと
私たちが何かをするとき、「経済面」は、無視することができません。経済面、つまりビジネスとして、「なにをすべきか?」を考える必要があります。
なによって覚えられたいか?がわかれば、次に様々な行動をしてみます。
私たちの場合、
- 50回以上、講座を開いてみたり
- チーム学習教材のビデオを無料配布してみたり
- ファシリテーター養成講座を開催してみたり
- 他の会社と協力して教育を作ってみたり、、、
様々なことに取り組みました。
最近だと、大学の先生、私立中学校の先生、ある大手メーカー、航空業界の方と話をしたり、仕事をして、以下の問いをしました。
- 我々は何者か?、何者であるべきか?
- 我々の事業とは何か?、何であるべきか?
私たちチームが、様々なチャンスを掴み、多くの人に貢献するには、「何者であるべきなのか?」を考えました。
すると意外にも、
「toiee は研究機関である」
という答えが出てきました。研究機関として、情報を発信し、行動し、発言することで、多くの人に貢献し、自分達の強みを生かせると気づきました。
もちろん、これからも「汝自身を知る行動」は続きます。そして、「汝自身」は変わり続けると思います。
しかし、この3つの問いをし続けることが大切です。なぜなら、私たちは「固定した何か」ではなく、ダイナミックな存在、動的平衡の世界で、何か機能を発する存在です。
そのような自己の定義ができれば、「自在」になるのでは?と思っています。
あなたも、是非、「重要な問い」を発してみませんか?
One more thing
最新技術で、自分を律しよう
ところで、答えが見つかっても「三省」を実行しなければ、何も起こりません。そこで、「最新ツール」を使うことをお勧めします。
- リマインダー(iPhoneなどの)
- Slack Reminder (チームのコミュニティーツールに)
シンプルに「何によって覚えられたいか?に沿って思考、行動、発言はしているか?」というリマインダーをセットしましょう。
1日に3回、ピコピコと通知が来るようにします。また、チームが使うコミュニケーションツールなどにセットすることで、チームとして「意識」するようになります。