toiee Lab 教材作成方針 ver 3.0
目的と手段をひっくり返し、新たなスタートをしました
2ヶ月ほど前の走り書き
toiee Lab の 2018年の行動方針は「Deploy or Die」です。
つまり、現場に出て、受講者と直接触れ合って、現実から学び、研究を実際に役立つものに変えて、広げていくことを行っています。
この方針に従い、多くの受講者の方々と共に学ぶ中で「教材作成の方針転換」を行うべきだと結論づけました。
既に、新しい方針で教材を試作し、多くのフィードバックをもらい、良好な結果が得られたので、「すべての教材のアップデート」と「新方針に従った、新しい教材」の追加をしています。
今日は、「方針転換の経緯と内容」をシェアしたいと思います。
現場で働く多くの先生、講師、指導者、経営者、マネジャーに役立てば幸いです。
これまでの教材作成の方針
私たち toiee Lab は、(研究所としては当たり前のことですが)「人類の前進に貢献する」を常に意識し、その自覚を促しながら活動を行ってきました。
この高邁な目標から
- 「メタ探求型学習(メタ認知を活用、促進する学習方法)」が、誰もが行う普通の学習方法になるように活動する
というミッションを掲げました。
このミッションから導ける当然の結果として、
- 具体的な知識、スキルを例題に、メタ探求型学習を身につけられる教材を作る
教材作成方針を策定し、30以上のワークショップ、教材を設計して、オンライン、全国のパートナー(ラーニング・ファシリテーター)と協力して提供してきました。
現場に出てわかったこと
ところが、昨年終わりから、現場に出て受講者と直接触れ合う中で、私たちは「勘違い」をしていることに気づきました。私たちは、顧客ニーズを履き違えてたことを認識しました。
受講者の多くが望む「手段」と「目的」を正反対に理解していました。
つまり、受講者は「目の前の具体的な知識、スキル」を習得したいが、「メタ探求型学習を習得したいわけではない」ということです。
なぜ、勘違いをしていたのか?
メタ探求型学習の恩恵を得るには、無意識レベル、習慣レベルで「習得」している必要があります。
つまり、呼吸するように「学習中に一歩引く」「学習の前後で期待する結果、プロセス、前提を言語化する」「予想外、無知の部分にアンテナを貼る」「学習のパターンを分析する」を行えるようになる必要があります。
このようなアプローチを「あらゆる分野」で実行できるようになるには、鍛練が必要になります。
つまり、時間がかかります。
ところが、成人、社会人は「学習方法の習得にだけ時間を使う」のは、難しいです。日々の忙しい業務の間をやりくりしなければなりません。一方で、具体的に学ばなければならないことは、山ほどあります。
そこで、「「具体的なスキル、知識」を通じて、メタ探求型学習を学べるようにすればいい」というアイデアを出して、教材方針としました。
勘違いの原因は、
- 高邁な目標に、肩入れしすぎていた
- 現場で、最終消費者から学んでいなかった
ことにあります。
具体的な知識・スキルの習得のために「メタ探求型学習」を使う
上記のことから、私たちは目的と手段を入れ替えるべきだと考えました。つまり
- 前 : メタ探求型学習を身につけるために、様々な教育を使うように教材を開発する
- 後 : 様々な分野を効果的に学ぶために、メタ探求型学習を活用した教材を開発する
この入れ替えは、「メタ探求型学習を、メソッド化すること」をさします。本来、メタ探求とは、ダイナミックなシステムです。メソッドとして固定してしまうと、本当の良さを失う危険があります。
それでも、「シンプルなノウハウ」にすることは、特別な職人芸(長い時間で培ったもの)を必要としないことを意味します。産業革命の立役者が、職人芸を「科学的に分析し、マニュアル化」したことであるように、メタ探求型学習を「マニュアル化」することの方が、現状では、現実を大きく変える力があると結論づけました。
私自身としては新しい方針に「ワクワク」して、情熱が湧いているところです。
ただし、子供の教育は別
社会人、受験生、大人は「直近の成果」を求められます。従って、「目的はあくまでも、目の前の具体的なスキル、知識の習得」であって、手段が「メタ探求型学習」です。
しかし、子供達は、私たち大人が全く想像もしない未来で、「成果を求められる」ことになります。
従って、いまの基準で設定された成果に対して「効率的な勉強をする」よりは(つまり、上記の教材方針)、「メタ探求型学習が、当たり前」になるように、算数、国語、体育・・・などを学ぶ教育をすべきだと考えています。
私が大学に入った時、「誰もが使いやすいコンピュータを作りたい」と考えていました。一方で、誰もが「プログラミングできるようになる未来」など考えてもいませんでしたし、必要がないと思っていました。一部の人が作れれば良いと思っていました。
しかし今は、小学校、中学生に、つまりは全員が「プログラミングを学ぶべき」という議論が巻き起こっています(その良し悪しは置いておいて)。このような未来は、たった15年先でも、全くの想像外です。
一人の親として、子供達の未来なんて、全然わからない。何が必要となるなんてわからないと、常に思っています。だからこそ、具体的な算数、数学の点数ではなく「学ぶ力そのもの」を養う教育を与えてあげたいと願っています。
このような考えから、子供向けの教育では「メタ探求型学習」を習得することが目的として、いろんな分野を知るような教育を、これからも展開しようと考えています。
今後の「具体的な計画」について
ところで、私たちは教材作成方法、学習理論のバージョンアップが起こることを、もともと織り込んでいたため、教材作成方針に当初からバージョン番号をつけて管理していました。
現在のバージョン(今回の新しい方針)は、3.0 です。これから、既に設計したワークショップと、ワークショップの様子を使ったオンライン教材を「全て」3.0でバージョンアップします。また、今後の教材は、すべて「3.0の方針」で追加します。
さらに、教材の中身だけでなく「提供方法」も大きく変えて行きます。
例えば、オフラインでは、「ビデオが進行役、見本」が担い、ラーニングファシリテーターは、場づくり、学習者への質問、サポートに集中できるようにします。
オンラインコースでは、Webページ型の教材提供から、「Udemyをはじめとする、いわゆるオンラインコース体験」で提供します。
具体的には、WordPress の LearnDash というプラグインを利用して、オンラインコースを提供することによって、わかりやすい操作、進捗の管理、途中から簡単に始められるなど、多くの恩恵を提供して行きます。
お楽しみに!