なぜ、チーム学習なのか?(進化論的に考える)
こんにちは
toiee Lab 亀田です。
私は「チーム学習は、絶対にいい!」と思っています。
最高の学び方の一つだと自信を持っています。
その理由を「脳機能」「学習のメカニズム」などの現代科学の観点から説明することは可能です。しかし、本当の意味で理解してもらうには時間がかかります。土台となる科学知識から説明する必要があるからです。
そこで今回は、「進化論」という観点から、チーム学習を考えてみたいと思います。
進化論の発想
進化論で有名な人といえば、チャールズ・ダーウィンやラマルクです。彼らは、「近代合理主義(啓蒙主義)」の社会風潮の中、
「なぜ、この生物はこの形なのか?」
「人間はなぜ、このようなものなのか?」
の答えを、「神が、そのように創りたもうた」という論理を退け、神によるものではなく、「自然淘汰」という仕組みによって、人間や生物や植物は、「この形になった」という論理を展開しました。
神に頼らず、自然のメカニズム、論理によって「生物の形態」を説明しようとした点で、「科学」と言って差し支えないと思います。
進化論的発想とは、「今、人間がこんな状態なのは、過去の生存競争で有利だったから」と説明することです。
例えば、
「人が協力し、貢献することに喜びを感じる」のは、太古の昔、共同作業することで、獲物を捕まえ、外敵から身を守ることができる特性を持った人類種が生存競争で有利に働いたからと考えます。
大昔、協力的な種と非協力的な種がいたとします。非協力的な種は、協力的な種に比べ、獲物を捕まえることが難しく、外敵から身を守ることが難しく、長い年月をかけて、衰退し絶滅したと考えます。
これが「進化論的発想」です。
学ぶことが楽しい
人は本来、学ぶことが楽しいです。
幼児は本能に近い存在です。彼らを観察していると、とにかく遊びます。遊びというか、学びます。次々といろんなことをし、貪欲に「なんで?」と質問し、興味を示します。興味が満たされたら、次、次、次と進みます。
何かを学び、できるようになることが大好きです。できるようになったら、もっと難しいことをやりたがります。
要するに「学ぶのが大好き」です。
この本能は「進化論的」に考えれば、生存に有利だったと結論づけられます。学ぶのが大好きな遺伝子を持った種は、先人が学んだことを継承し、次々と発展させることができました。
結果、狩りの仕方が高度化し、道具作りが高度化し、文化を形成し、工夫をし続けられたから、今の人類があると推測することができます。
繰り返しになりますが、これが「進化論的発想」です。
チーム学習について考える
では「チームで学ぶ」については、どうでしょうか?
チームで学ぶことは「楽しい」し「効果的」を、進化論的な観点で説明できるでしょうか?もちろん、可能です。
人類が少数のグループ(数家族単位)で生活し、狩猟・採取で生活している時代を想像してください。その時代には、まだ文字は発明されていません。もちろん、書籍もマニュアルもありません。ビデオもありません。
学ぶ種族である人類は、どうやって「先輩の狩りの仕方」や「栄養価のある食物」や「食べ方」を学ぶでしょうか?
答えは想像通りだと思いますが、「年長者と一緒に狩りに出かけ、共に狩りをしたりする中で学ぶ」ということです。その時には「マンツーマン指導」はしないでしょう。狩りを新米と二人だけで成功させるのは難しいです。おそらく、足を引っ張ります。
そこで、数人のチームで狩りをする中で、チーム学習して、学ぶことになります。
マンツーマン指導は、非効率的です。王侯貴族などが生まれた時に初めて、行われたと想像できます。
つまり、「チームで学ぶこと」は、太古の昔から当たり前にやってきたということです。そして、チームで学ぶ時の土台は「コミュニケーション」です。
コミュニケーションを通じて、お互いのことを理解し合い、そして技術、知識を継承する、学ぶことをしてきたのが人類だと言えます。
チーム学習は楽しいと感じる
このチーム学習が、もし苦痛な体験と感じる遺伝子を持っていたら、私たちは淘汰されて、生き残っていなかったでしょう。
チームで学ぶこと、コミュニケーションすることが「嬉しい」「楽しい」と感じるからこそ、協力し、知識を継承することができました。
以上のことから「チーム学習」は、人間の本能に根ざした学び方と言えると思います。
ラーニング・コミュニティ
ちなみに、ハーバードビジネススクールのある研究によると、強い組織は「実践コミュニティ」という「知識を発展、継承、シェアする非公式な学習するコミュニティ」を持っていることが明らかになっています。
このようなラーニング・コミュニティ(実践コミュニティ)を、意図的に発展させた会社が、GEなどです(世界最強に近い会社)。もちろん、トヨタも「サークル」という形で、実践コミュニティ、ラーニングコミュニティという仕組みを持っています。
チーム学習は、toiee Labが言い出した発明でもなければ、奇異なメソッドでも、なんでもありません。
「至って普通」
のことなのです。
この普通が、現代教育では失われているだけのことです。むしろ、現代教育が「異常」であると言えます。
ラーニング・コミュニティは、どうやって育むか?
すでにラーニング・コミュニティを生み出し、発展させるための研究は多く行われています。TEAL組織で登場する学校や、アジャイル開発で有名なスクラム開発を考案した著者の教え子が実践する理科教室や、トップクラスの企業内で、体系的に行われています。
また、オープンソース・ソフトウェア開発の場でも、何度も何度も実践され、十分な事例が存在ます。
このような事例を紐解きながら、「継続的に、多種多様な内容を学ぶコミュニティ」を作る方法を研究してきました。また、オンライン上で、教育サービスとして実現するための様々な工夫(ITツールの選定や、独自開発も含め)をしてきました。
それが、 toiee Lab ラーニング・コミュニティです。
必要なピースは揃っています。
あとは、走っていくだけです。
これから「ラーニング・コミュニティ」を体験していただける機会を多く作っていきます。是非、一度体験して見てください。
そして「学ぶこと自体が楽しい!」という本能を呼び覚ましてください。
追伸:
現在、クラウド・ファンディング・キャンペーンと称して、「ラーニング・コミュニティ」の運営方法と、そのためのノウハウを公開しています。無料でも、社外秘のドキュメントも公開しています。
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