なぜ、人に教えると「良く学ぶのか?」
Teach Others がうまくいくとき、うまくいかないとき
こんにちは。
toiee Lab 亀田です。
ラーニングピラミッドをご存知ですか?
教育メソッドの平均的な学習定着率を表したものとして有名です。
この研究のデータはどこだ?こんな綺麗な数字になるのはおかしい!と諸説ありますが、重要なことは「数字」ではありません。
重要なことは「人に教える」が一番効果的だと定義していることです。
今日は、このことについて議論したいと思います。
人に教えると良く学べる
私は、中学校の時、これを発見しました。
同じ教室の友達に、数学、理科、英語、国語(社会は聞かれませんでした、嫌いだったので)などの教科について質問をされ、教えていました。
すると、人に教えている時に「アァ、なるほど」と納得して、理解が深まっている自分がいました。
この経験から「人に教えるとよく学ぶ」ということを発見し、それ以後、
- 本を読むにしても、何かを勉強するときは、「人に教えるつもり」で学ぶように
してきました。
P.F.ドラッカーも、勧めた「人に教える」
マネジメントの大家であり、優れた社会学者であり、政治学者(本人は社会生態学者と言ってますが)ドラッカーも、
人に教えることによって、一番よく学ぶ
と断言しています。
また著書では、毛沢東が識字率を向上させた方法として、「既に読み書きできるようになった子供を教師にした」事例を引用したり、日本の寺子屋(郷中教育)と思われるものを示唆していました。
おそらく、あなたも経験的に「人に教えるとよく学ぶ」と感じているはずです。
「なぜ、人に教えるとよく学ぶ」のでしょうか?
これを「フィードバックを通じた学習」で捉えてみましょう。
toiee Lab では、FILM学習理論という形で、「自ら能動的に、高次学習を引き起こすメカニズム」を独自に体系化しています。FILMの頭文字は、Feedback、Fractal、Intentional、Lasting、Meaningful です。
FILM理論では、人の学習を4つのサイクルの連続、そしてそれらのサイクルを包括する大きな4サイクルのフラクタル構造として捉えています。
人の行動はすべて「フィードバックシステムの延長」にあります。例えば、目の前のコップを手に取る行為もフィードバック制御で行なっています。
もちろん、学習も「フィードバック制御の延長」で実現しています。しかも、制御系自体に修正をかけたり、期待する結果そのものの修正を行う点が、人間特有でもあります。
難しい話はさておき、私たちが学習する仕組みを4つのサイクルで捉えると、以下のようになります。
- 期待する結果
- 行動
- 結果の確認(期待と実際の結果の差分の認識)
- 次のサイクルに向かって、修正( ← ここが学習の瞬間)
となります。
この4の時に、人間だけが「期待する結果」や「行動の前提、仮説、メンタルモデル」の修正を行います。別の言い方をすれば、意識的に行うことが可能です。
説明すると難しいですが、これらを実践するのは意外に簡単です。
FILM理論の実践のために開発したシンプルなA4サイズのシート1枚でOKです。私たちは、FILMシートと呼んでいます。
この理論から「人に教えるという行為」を分析してみましょう。
期待する結果を明確にする
例えば、大学の授業が終わったときに「図解で説明したら、『なるほど!』と相手が言ってくれる」と、期待する結果を明確にします。
すると「図解で、わかりやすく説明」するには、どのように授業を聞けば良いでしょうか?
もちろん、要点を掴み、物事の関連性を明らかにしながら聞くでしょう。もしくは、あまり何も考えずボーーっと話を聞くかもしれません。それは、それでOKです。
そして、そして、実際に説明をしてみます。
すると「説明できない自分を目の当たり」にします。わかりやすく、シンプルで、即、自分の学習状態を計測できます。これが「人に教える行為」の意味です。
そして、「期待する結果」と、「実際の結果」の「差」が明らかになります。
この差をしっかりと確認し、行った行動や、その行動の背景にある前提、想定、仮説を見直し、次のアイデアを考えます。これをフィードバック制御の延長の学習と言います。
これを繰り返すうちに、徐々に「教え方の前提」や「授業の聞き方」や「そもそも授業の前に予習をすべきでは?」とかのアイデアを出していきます。さらには「期待する結果」をさらに引き上げたりします。
学習が起こらない教え方
以上のことを深く理解するために、逆を考えてみましょう。
学習が引き起こらないような教え方をしたとしたら、それはなんでしょうか?例えば、
- 一方的に説明する
- 相手がわからなったら、こいつがバカだからだと決めつける
- うまく伝わっていないことを無視する
- 自分が理解できていないことを無視する
- 次どうするか?などのフィードバック分析をしない
などです。こうなると、学習効果は半減します。
早速、やってみよう!
あなたは、今読んでいる本がありますか?
あるいは、勉強のテーマが何かありますか?
それらを読み終わる、もしくは、1章分を終えたら、即、人に教えてみましょう。教えることを前提に、勉強しましょう。
その際、是非、FILMシートに書き込んでみてください。そして、実際に教えるたびに、シートを書き込んでいきましょう。
すると、驚くべき発見がたくさんあるはずです。
FILMシートのダウンロードはこちらです。
実践してみたら、是非、感想や実践例を送ってください!感想、実践例を送るぞ!という前提で、FILMシートを書き込むことも、「期待する結果の明確化」になります(いま、フラクタル構造が発生していて、高次学習状態になっています)。
感想をお待ちしております!
追伸:
Teach Others を手軽にする方法
大学院に入った時、ファジィー理論、遺伝的アルゴリズム、免疫アルゴリズム、ニューラルネットワーク、カオス理論を使った近未来予測などを、もっと深く理解したいと思い、「人に教える」を発展させてみました。
その方法は、「Webサイトを作って」説明を公開することでした。
ジオシティーズという場所に、分かりやすくまとめ、独自の視点でファジィー理論(次元の拡張と抽象化)を説明した記事は、随分評判が良かったようで、「続きを書いてください」と問い合わせをもらいました。
(今は、Yahoo!のサービス変更で、サイトごとなくなりました:残念)
つまり、
- 見知らぬ誰かに、分かりやすく説明する
ということによって、随分理解が深くなりました。
このMedium という場所で「Teach Others」してみるのは、良いチャレンジだと思います。