参加者が、積極的に発言する場を作る方法
「スタート」の仕方を変えてみよう
こんにちは。
toiee Labのコウタです。
toiee Labは[email protected]を運用しており、お客様からのご質問やご要望を募集しています。
以前募集した結果、こんなご質問をいただきました。
私も仕事でワークショップを行なったり、業務を通してコーチングをする側に回ることが多いのでtoieeLabさんの記事はとても参考になります。ただ、相手から全く質問がでてこないとき、不安になって話しすぎてしまうことがあります。相手にプレッシャーを与えずに、どのくらい腑に落ちているかを知るにはどうすればいいですか?また、良い質問を引き出すコツなどはありますか?
このご質問にお答えするべく、今回は、「参加者が、積極的に発言する場を作る方法」をテーマにお話しをしてきます。
悪循環が発生している
問題に部分的に対処するだけではなく、全体を見て問題の構造を明らかにすることが解決につながります。
ご質問内容について考えるために、まずは起こっていることの構造を考えてみましょう。
今回の問題の構造を簡易にしたものが、下図になります。
問題の構造
今回お問い合わせくださった方とお話ししていないため、詳細な状況はわかりませんが、戴いたご質問からわかることから図を作ると、このようになります。
「不安になって話してしまうということ」が、「さらに話してしまう」という結果を引き起こしています。そうしていると、もっと不安になって、もっと話して…と悪循環になります。
一度「発言をしない状態」になってしまうと、「積極的に発言する状態」に変えることがかなり難しくなります。
ワークショップの「スタート」が肝心
根本原因は、この図の場合、そもそもワークショップが「ファシリテーターが話すという設計になっている事」です。
「話すと、もっと話さなくてはいけなくなる」という悪循環を起こさないためには、特にワークショップのスタートが肝心です。
ワークショップを開催しておられる方はご存知だと思いますが、通常、ワークショップが始まってすぐは、発言しやすい場作りができていません。
初めて会う人同士の人ばかりの場合、緊張などで参加者は固いですし、まだどんな場なのか、様子を伺っている状態です。
この時、もしファシリテーターが聴講型のアプローチをとって、長々と説明してしまうと、参加者は「ここは講師の人が教えてくれる場なんだ」と場を認識し、「聴くモード」になってしまいます。
にもかかわらず、多くのワークショップでは、ファシリテーターの長々とした自己紹介から始まります。
「スタート」を変える
私がワークショップでファシリテーションを始めた頃、ご質問くださった方と同じように、「不安になって話し過ぎてしまう」を経験しました。
原因を分析した結果、ワークショップの設計を無視して、出だしからたくさんの説明をファシリテーターがしてしまっていたことが原因だとわかりました。
それからは、ワークショップのスタートの仕方に気をつけました。
イントロはだいたい3分以内かもっとかからず終えて素早くワークに入り、ワークの説明も、できる限り簡潔に行いました。さらに、序盤は意識的に
- 「いまどんなふうに考えていますか?」
- 「実験を考えて、やってみましょう!」
と、参加者に思考と行動を促しました。
すると、参加者同士が協力し、教えてもらえるのを待つのではなく、主体的に発言・探求するようになりました。
スタートの仕方が変わるワーク
「ファシリテーターがなるべく話さずに、参加者が主体的になるワークショップ設計にする」ことで、発言しやすい場を作ることができます。
とは言っても、いきなり自分でワークを設計するのは難しいです。
そこで、toiee Labが頻繁に取り入れており、参加者の発言を促すことに高い効果を発揮してきたワークを2つ紹介します。
「Good & New」と「Think & Listen」です。
Good & New
Good & Newは大抵、ワークショップの一番最初に行います。
ポジティブな気持ちになったり、参加者同士が打ち解けて「アイスブレイク」として機能するだけでなく、発表をしてもらうので話す練習にもなります。
進行方法は非常に簡単です。
「良くて新しかったこと」をひとりひとり発表していきます。発表発表する内容は
- 「朝食べたサンドイッチが美味しかったです」
- 「天気が良いので洗濯物が良く乾きそうでよかったです」
というように些細なことで構いません。
話すときに、触っているとリラックスできるので、クッシュボールなどを用意するとよいでしょう。
とても簡単なワークなので、是非取り入れてください。
Think & Listen
Good & Newに続けて行うことが多いのが「Think & Listen」です。とても簡単で効果的なワークです。
これまで何度もThink & Listenを行ってきて、参加者から
- わかっていることと、わかっていないことがわかった
- これから探求することにアンテナが立った
- ◯◯を学ぶことにワクワクしてきた
とのフィードバックを戴きました。ご質問にあった、「どれくらい腑に落ちているか」を確認することもできます。
進行方法は
- ペアをつくる
- テーマを提示する
- 頭によぎったことを支離滅裂でも良いので、2、3分の間どんどん話してもらう
です。
話すときには、質問などを書いた資料を用意して、見ながら話してもらうようにすると良いでしょう。
最後に
今回、「参加者が、積極的に発言する場を作る方法」についてお話ししました。ご質問の回答になっていれば幸いです。
発言しやすい場をつくることができれば、参加者から質問を引き出すことや、こちらからの質問に対して発言もしやすくなりますし、ファシリテーションに専念することができるようになります。
参加者主体の状態を作ることに成功した時のワークショップは、参加者がファシリテーターがいないかのように、主体的にワイワイ探求します。
こちらが「探求をストップしてください」と言っても無視して探求するほどです(笑)
Good & NewとThink & Listenも是非試してみてください。実践してみたら、またフィードバックをくださいね。