小学生に夢を諦めさせる教育
学ぶこと自体が楽しいと伝えたい
先週の日曜日、暖かく気持ちの良い日でした。
電車に乗っていると小学生くらいの女の子が2人乗って来て、向かい側の席に座りました。
手には学習塾のカバンを持っていて今から塾に行くようです。
一人の女の子が聞きました。
「将来の夢って何?」
子供の会話は、なんとも微笑ましいものだなと思って聞いていると、聞かれた女の子がこう答えました。
「お医者さんになりたいけど、頭が悪いから私には無理」
日曜日まで塾で勉強しているのにもかかわらず、頭が悪いという思い込みで自分の夢を諦めていました(諦めるかのような発言をしていました)。
なんだか、とても悲しくなりました。
自分の夢を信じれない小学生
その日、女の子の言葉が頭を離れず、「何故自分の夢を信じることができないのだろう」とずっと考えていました。
私が子供の頃は好き勝手にあれになりたい、これになりたいと言っていた気がします。
一方で目の前の女の子は、無邪気に「お医者さんになりたい」と言えません。どんな環境が彼女の自信を奪ったのだろうと考えている時に、toieelabの所長の亀田が昼食を食べながらこんな事を言っていた事を思い出しました。
「人の自己肯定感を簡単に下げる方法は人と比べる事」
想像でしかありませんが、あの女の子はテストの点数が低く、先生や親から「こんな成績じゃ、お医者さんにはなれない」とか「頭が悪い」などと言われたのでしょう。
電車に揺られながら、そんな言葉を投げかけられつつも完全に諦めることができず「自分はお医者さんになりたいんだ…でも無理なんだろうな…」と思っている心情を想像して泣きそうになりました。
目の前の女の子がそうでなくとも、テストの点で大人から叱責される子供は少なからずいると思います。そんな環境を想い話を進めます。
少なくない数の大人(親や講師)が子供の成績に一喜一憂しています。しかし、テストの点数は単なる結果でしかありません。
Failure is Learningという原則があります。学習には、たくさんの間違えと、それをもとにした振り返りが必要不可欠だという原則です。つまり、たくさん失敗してたくさん学ぶことが学習においては大事なのです。
答えが合っているかだけを評価されるような学習環境では、子供は大人の顔色を伺い、間違えることを恐れるようになり、自分で考えるのではなく用意された正解を探します。
私も高校時代間違えると厳しく叱責する先生が怖かったので問題集の答えを丸々書き写して授業に臨んでいました。とても勉強が楽しいと思える環境ではありませんでした。(今は学ぶことなら何でも好きです)
FILM for Teacher _教える人のための学習理論
学習理論についてはこちらを参照してください。
学ぶこと自体の楽しさを伝えたい
学習は大人の期待に答える為ではなく学習者の成長の為にあります。
もっと言えば学ぶこと自体が楽しいから学ぶのだと思っています。
toieelabでは理論の研究だけでなく講座を開催しています。toieelabの講座の特徴は科学的な学習理論があることだけでなく、学ぶこと自体の楽しさを味わうことができるという点だと思います。
学ぶことの楽しさを味わうことができる秘密の一つは場を大切にしていることが挙げられます。
良い学習の場をつくる為のマインドセットがあり、その中でも私が好きな一文は、
成長や進化は、狭い階段を駆け上がり競争することではなく 同じ水平面を各人がそれぞれの方向に向かって歩むプロセス
というものです。
・他者と比べて優れている、劣っている、
・意見が正しい間違ってる
を互いに比べるのではなく純粋に学ぶことを楽しめる場を提供することが重要だと思っています。
toieeLabの講座では、徹底して参加者が正解不正解を気にせず「ああでもない」「こうでもない」と意見をぶつけ合える場を作ります。
この学ぶ場では、教えられるのではなく「自ら学ぶ」姿勢を全員が持ち、お互いを「受容」し合います。
学習の場では権威などは一切関係ありません。全くフラットな関係で学びます。これを大事にしています。
場作りを徹底した結果こんな面白ことがありました。
80歳のおじいちゃんと女子高生がiPhone講座で対等な目線で機能の探求し熱く議論
「写真家の人がiPhoneの写真講座で他の参加者(写真未経験)のアイデアを盗んで大喜び」
誰も間違えることを恐れず自分の意見を言い合い、たとえ見当違いの意見を言ったとしても、その間違いから学ぶことがあったと喜び合うのです。
「間違えてくれてありがとう」「ナイス失敗」と、誰しもが学ぶこと自体を楽しめる場が私はとても好きなのです。
もしあなたが他人と比較して諦めかけていることがあるなら一緒に学びましょう。
そして、もしあなたが何かを教える立場なのであれば、たくさん失敗させて学ぶ楽しさと勇気を手渡してあげてほしいのです。